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空調市場で認知度向上

ゴム系断熱材で世界トップシェアを誇る『アーマフレックス』を展開するArmacell(アーマセル、本社・ルクセンブルク)。同社の日本法人であるArmacell Japan(社長=安村義彦氏、本社・東京都中央区八丁堀1--)は昨年、メインの市場となる空調市場での認知度向上に取り組んだ。これまでとは異なったアプローチでゼネコンに営業を行い製品メリットを訴求。いくつかの案件のスペックインに成功し『アーマフレックス』の名は空調市場で一定の認知を得たと見られる。

同社は人の紹介を受け、ゼネコンのキーマンへ直接営業を行った。これまでは建設市場に対し、製品の特性を訴求する営業スタイルはとっておらず、製品名も製品メリットも知られていなかった。今回、キーマンにピンポイントでメリットを訴求できたことで、製品の特性をより深く知ってもらうことができた。同社、安村義彦社長は「従来のファイバー系断熱材に比べて『人手不足対策になる』『設置が容易』『納期短縮になる』といったポイントをしっかり訴求できたのでは」と手応えを話す。

もう一つ、営業展開のトピックとしては、地方への訴求に注力したことが挙げられる。同社は大阪に事務所を設置し、昨年から本格的に営業展開を図った。それまでアーマフレックスは東京エリア以外に浸透していなかったが、ここでもゼネコンが製品の特性を知るにつれ、使用される機会が増えたという。

また、同社は昨年1年間で北海道から沖縄まで、計300数十名に対し、アーマフレックス工法の出張トレーニングを行った。トレーニングは、施工時のコツを掴んでもらい、高品質な施工を行ってもらうことが目的。あるエリアでは、地元でも有力な若手ダクト工事業者らがトレーニング会場に集まった。「〝このままの工事方法でいいのか〟〝今はよくても今後は大丈夫なのか〟というように、現状に満足しない姿勢を持っている方が多かった。そういった方は、アーマフレックスに興味を持って頂いている」(安村社長)。

同社が今年取り組んでいくことは①新商品の投入②空調業界の販路拡大③首都圏ラッシュの刈取り。やはり人手不足に対してどういった点を打つのかが鍵になる。

安村社長は「当社の商材は、エネルギー不足や人手不足を解決できるもの。小さな担い手ではあっても大きく貢献できる。日本のこれからにぴったりな商材だと思う」と自信を示した。

    

アーマフレックスは二トリルゴム(NBR)を基にした柔軟性発泡断熱材。形状は主にチューブ状とシート状で展開する。製品特性は超難燃性であり、煙が出にくい。また熱伝導率も低く、エネルギー損失を効果的に防止する。さらに、窒素を密閉した細かなクローズドセル構造により、高い水蒸気耐性、耐結露性を有している。

また、NBRは軽量で柔軟性に優れており、繊維質を含まないため施工が容易。空調ダクト向けには、あらかじめ工場でダクト内にアーマフレックスを施工しておくことで、現場では吊り作業のみで済む「内貼り工法」も展開。職人不足が叫ばれて久しい日本市場のニーズにマッチしている。

 

空調タイムス  201811日発行 掲載記事