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ゴム発泡断熱材で世界トップ

ルクセンブルグに本社を置く保温・吸音用弾性断熱材のグローバルメーカー・Armacell(アーマセル)社の日本法人であるArmacell Japan(社長=安村義彦氏、本社・東京都港区)が国内市場拡大のための活動を本格的に開始した。アーマセル社の断熱材はニトリルゴムを基にした弾性発泡体で、発泡剤には窒素を使用している。このため燃えにくく、燃えても煙が出ない難燃性が特長。また密閉マイクロセル構造であるため水蒸気の侵入に対して高い抵抗力を備え、長期間に亘って結露を抑制する。柔軟性にも優れており、繊維質を含まないため、施工も容易にできる。繊維漏れの危険もなく、VOC排出量が低いことが認証(GREENGUARD)されているなど安全性も高い。さらにカビとバクテリアの増殖を抑制する抗菌保護材を内蔵しており、微生物の成長を無効にする衛生面も同社オリジナルの特長。代表製品は冷媒配管や冷温水配管、ダクトの保温に使われる「アーマフレックス」、吸音材の「アーマフォニック」など。

アーマセル社は現在、16カ国に23の生産拠点を持ち、ゴム系の断熱材ではトップシェアを構築している。アジアにおいては中国、韓国、タイ、インドに生産工場を持つ。同地域の経済成長と商品の優位性が認められ、近年、需要は急速に拡大中。国内においては商社経由で販売しており、HVAC業界での採用が進む。 「グローバルでみると冷熱はニッチなマーケット。商業ビルの床・壁の断熱、ダクトの保温、工業用途での断熱・吸音材など当社の製品は幅広い用途で使われている」と説明した上で安村義彦社長は「マーケットで評価されているのは品質と施工性の良さ。繊維系の断熱材と比べ製品コストは割高になるが工期は30㌫程度、短縮することができる。また今後はBCPの観点からも天井のオープン化が進んできており、施工後の見た目のデザイン性も重要になってくる」とし、施工を含めたトータルコストのメリットをエンドユーザー、ゼネコン、設計事務所などへ広く訴求していく考えだ。さらに国内向けの新製品として、貫通部にも使用できる防火認定品と、消音・防火性能を備えたリーズナブルな床材を投入予定という。 一方、上流側へのプロモーション活動とともに、施工技術者の養成にも取り組んでいる。都内にトレーニングセンターを開設し、今年から認定技術者の育成を始めたところ。 なお、6日に広島で開催される全国ダクト工業団体連合会の総会では、地元・広島の保温・配管・ダクト関連の専門商社カンネツコーポレーションがダクトの内側に施工する吸音材「アーマフォニック」を展示・紹介する。 最盛期には700万人を数えた建設業界の就業人口も今は400万人余にまで減少する一方、首都圏を中心として2020年に向けて最盛期並みの計画案件が控えている状況で人手不足は目下業界最大の課題。このような中、短工期を可能とする製品は時代のニーズに即したものとして普及に期待が寄せられている。

空調タイムス  2016年7月6日発行 掲載記事